「となりの億万長者 〔新版〕成功を生む7つの法則」

「となりの億万長者」(早川書房)は1997年に邦訳が出て版を重ね、今年8月に新版が出た。ロングセラーの名著ということだろう。1日で読み終わって、名著であるばかりか、とても感動的な本だと思った。

著者のトマス・J・スタンリーとウィリアム・D・ダンコはアメリカの資産100万ドル(約1億円)以上の億万長者を数多く調査し、意外な実態を明らかにする。普通、億万長者と聞いて思い浮かべるのは高級住宅街に住み、高級車を何台も持っていて、高級レストランやホテルに乗り付け、高級な服とアクセサリーを身にまとっているというイメージだろう。実態は違った。億万長者の多くは中流家庭が住む住宅地に住み、倹約をして質素な生活を送り、家計をしっかり管理して収入の15%を貯蓄と投資に充てていた。高級住宅街に住む多くの人は高所得ではあるけれど、低資産の人たちだった。

読んでいて「アリとキリギリス」の童話を思い浮かべずにはいられない。収入をあるだけ使ってしまい、見た目は華やかだが、将来の計画なしに浮わついた毎日を送るキリギリスではなく、億万長者の多くはアリのように堅実な生活を送っているのだ。

この本の中で著者は期待資産額という計算式を紹介している。現在の年収と年齢から期待できる資産を算出する。

期待資産額=税込み年収×年齢÷10

現在の金融資産が期待資産額を上回っている人は蓄財優等生、下回っている人は蓄財劣等生ということになる。アメリカと日本では税金や保険の料率が異なるので単純には適用できないが、一応の指標にはなるだろう。計算してみたら、僕の場合は全然足りなかった。蓄財劣等生であることを痛感した。

サブタイトルの億万長者に共通するポイント、つまり蓄財優等生になるために必要な「成功を生む七つの法則」は以下の通り。

(1)収入よりはるかに低い支出で生活する
(2)資産形成のために時間、エネルギー、金を効率よく分配する
(3)お金の心配をしないですむことの方が世間体を取り繕うよりもずっと重要と考える
(4)社会人となった後、親からの経済的援助を受けていない
(5)子供たちは経済的に自立している
(6)ビジネスチャンスをつかむのがうまい
(7)自分にぴったりの職業を選んでいる

どんなに高級品を買い、高級レストランで食事をしても、それはその人の見栄を満足させるだけで資産には何も結びつかない。高級車が資産になると思っている人は車の減価償却がいかに早いかを知らない人だ。「人は見た目が9割」という本があるけれど、人がどれほどの資産を持っているかを判断するのに見た目ほどあてにならないものはないということをこの本は教えてくれる。

本書の後半は子供への経済的援助がいかに子供をダメにするかを書いている。成人した子供に金を与えることは子供の経済的自立を阻む要因となる。子供や孫がかわいいと思って経済的援助を行うのは間違いだ。子供を経済的に自立させるかどうかは親の責任だ。40代になっても50代になっても親の資産をあてにするような子供は情けないし、親はこうした子供にしないために不用意に子供にお金を与えるべきではない。これは胸に刻んでおく必要がある。成功につながるかどうかはどうでもいい。この本は資産を持つ人も持たない人も読む価値のある本だと思う。

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