ようやく読む。読んだからといって、映画の見方が変わるわけではない。全然面白くなかったわけではないが、やはり波瀾万丈の筋立ての方が好み。
一番最後(文庫の書き下ろし部分「きょうのできごとのつづきのできごと」)に作者の柴崎友香が映画のロケを見に行く話が出てくる。行定勲の話が興味深かった。作者は田中麗奈に自分の役がどんな女の子か尋ねられる。それについて聞いた行定勲はこう答えるのだ。
「みんなそれぞれ、自分が演じる人物についてすごい考えているからね。柴崎さんの考えた人物があって、おれが考えた人物があって、それから役者が考える。役者は柴崎さんにそうやって聞いたりするかもしれないけど、それは参考に聞いてみるっていうことで、やっぱり最後は自分が考えたとおりに演じるよ」
なるほどなあと思う。役について真剣に考える田中麗奈の表情が目に浮かぶようだ。