「中春こまわり君」

「中春こまわり君」

「中春こまわり君」

「がきデカ」の雑誌連載は調べてみると、1974年から81年まで。よく読んでいたのは中学、高校にかけてであり、大学では読まなかったので、さすがに最後の方は読んでいないだろう。と、それぐらい記憶があやふやなほど、昔の話だ。先日、酒の席で「あれは泣けますよ」と聞かされて、今年この単行本が出たことを知り、慌てて買った。「泣けますよ」はオーバーな表現だが、リアルタイムで読んでいた人にとって、懐かしさと切り離せない。雑誌連載時の読者は今、40代から50代であり、妻子を持つこまわり君の姿は自分と重ね合わせて「ああ、時は流れてしまった」との感慨を持たずにはいられないのだ。

といっても基本はギャグマンガである。収録されているのは「妻の帰還」(前後編、雑誌掲載2004年)「ジュン」(3話、2006年)「斬」(6話、2008年)「痛い風」(前後編、2008年)の4つ。いずれもビッグコミックに掲載された。こまわり君は金冠生生電器(きんかんなまなまでんき)という会社の営業部に勤め、西城君も同じ職場にいる。家族は妻の圭子と息子の登。西城君はやっぱりモモちゃんと結婚している。こまわり君が突然、動物になるなどのおなじみのギャグのパターンをちりばめて、かつての逆向小学校の面々の今の姿が描かれる。雑誌連載時にはモモちゃんより優しいジュンちゃんが好きだったが、そのジュンちゃんの不幸な境遇が描かれる「ジュン」が4話の中では一番面白かった。絵が欠かせない漫画のギャグを引用することほど分かりにくいものはないが、久しぶりに再会したこまわりとジュンのやりとり。

「ジュン」
「あ! ろまわり君。違った、え~~、地回り君だっけ。え~~と、え~~と、外回りでもないし、墓参りでもないし」
「わしの名前忘れてどうすんじゃーっ!」
「こまわり君」
「やっと分かったか」

こまわりはジュンの母親から手紙を預かっている。不幸な境遇を心配する内容かと思ったら、書かれていたのは「ジュンへ 半年前に貸した三万八千円返しておくれ 母より」。こういう感じでストーリーが進行する。

「がきデカ」を含めたこの作品についてはWikipediaが非常に詳しい。「クレヨンしんちゃん」が「がきデカ」の影響を受けているという指摘にはなるほどと思う。山上たつひこの作品は「がきデカ」と同時期に連載されていた「快僧のざらし」もよく読んでいた。反戦シリアス漫画の「光る風」はリアルタイムで時々読み、「がきデカ」がヒットした時に単行本3巻をまとめて読んだ。「光る風」が少年マガジンに連載されたのは1970年で、「左手にジャーナル、右手にマガジン」と言われた政治の時代にふさわしい作品だったのだと思う。

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2 thoughts on “「中春こまわり君」

  1. 45

    読んでいたんですが、「死刑!」とか「八丈島のきょん!」とかのポーズしか覚えてません。
    内容はぜんぜん・・・
    作者は違うけど『マカロニほうれん荘』は大好きでした。

  2. hiro 投稿作成者

    僕は単行本が出るたびに買って読んでました。この作品にも「死刑!」「八丈島のきょん!」が1回だけ出て来ます。どちらも頼まれて仕方なくやるという設定で、ギャグや笑いのパターンは同じでも、過去とまったく同じギャグは使わないようにしているのでしょう。そのあたり、偉いなと思いました。

    同じチャンピオンの連載でも「マカロニほうれん荘」は絵が好きになれず、まともに読んだことがありませんでした。

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