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「新潟のおせんべい屋さんが東京の女子中学生にヒット商品づくりを頼んだらとんでもないことが起こった!?」

タイトル負けしている。「とんでもないこと」と言うからどんなことかと思ったら、「なんてことはないこと」だった。と、思えるのは単純に編著者の力が足りないからで、内容を読者に「とんでもないこと」と納得させるような書き方が必要だ。

業界3位の米菓メーカー岩塚製菓(新潟県長岡市)が東京の品川女子学院とコラボし、新商品を開発する過程が描かれる。女子中学生の自由な発想に接して、社員たちは会社の都合に流されていた自分たちを反省することになる。

「女子中学生のコラボ日記」と「おせんべい屋さんの本音トーク」、CMプランナー澤本嘉光によるツッコミで構成されている。どれも本人が書いたものではなく、編集者が取材してまとめたものだろう。それは別にかまわないのだが、編著者が岩塚製菓の社員からなるROCKGIRLSなので、どうも書き方に遠慮があるような感じが抜けきれない。本書では省略された細部にもっと重要なものがあるのではないかと思えてくるのである。よくまとまった経過報告の域を出ていないのだ。第三者が書いたら、もっと面白くなったのかもしれない。題材が良いだけに惜しい。

心を動かされたのは冒頭にある岩塚製菓社長の品川女子学院校長への手紙と、岩塚製菓の成り立ち。同社が設立された長岡市近郊の雪深い山村は冬になると、現金収入のため父親が出稼ぎに行き、一家が離ればなれになる生活だった。「何とか、地元に産業を興し、家族が一緒に暮らせるようにしようと」して1947年に創業したのだという。「日本でいちばん大切にしたい会社」に取り上げてはどうだろう。

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