『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』

サブタイトルは「稼ぎ、貯め、殖やす人の”37のルール” 」。お金に対する考え方の参考になればと思って読んだが、反面教師にしかならなかった。所々、引っかかりながら読み進んだら、第4章にこんなことが書いてあってあきれた。

そもそも、貧乏な人と付き合ったら、自分も貧乏になります。貧乏な人はそれなりの生活習慣を送っています。一緒にいると、その習慣が似てくるのです。

著者はお金を3倍増やす方法として良い人脈を作ることを勧める。いい人脈と情報は貯蓄や投資のチャンスを生むそうだ。それはそうかもしれないが、金持ちとだけ付き合って貧乏人と付き合うなという考え方は人間的にどうかと思う。人間関係を損得勘定だけで判断するのは器が余りにも小さすぎる。

著者の菅下清廣は会社代表で経済評論家、国際金融コンサルタント。裕福な家に生まれ、父親の事業失敗で一転して貧乏を経験した。貧乏から抜け出すために猛勉強したそうだが、成り上がる過程で著者と付き合ってくれた金持ちはいなかったのだろうか。

この考え方を著者に教えたのは研修でニューヨークへ行った際に教育係を務めた男(ポール・ニューマンに似ているのでポールと呼ぶ)。ポールはレストランの食器に自分の名前が刻まれているのを見せて、こう言う。「ミスター・スガシタ、君がウォール街で成功して大金持ちになるために、最も重要な要素は、グッド・ピープルだ」。悪い影響を受けたとしか思えないが、著者はそれ以来、海外旅行に行く際にファーストクラスや一流ホテルを使うようになった。

一度そのなかに身を置くと、彼ら・彼女らに近づこうという気持ちが嫌でも湧きます。
「ファーストクラスの顧客にふさわしい自分になろう」
と思うのです。そのために、私は一流の場にお金を投じることを勧めるのです。

ファーストクラスの乗客に著者のような考え方の持ち主が多かったら、効果はないだろう。

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