噂には聞いていたが、これはもの凄い本である。本文999ページ+後書き4ページ+索引106ページ。上下2段組み。どうだ、文句あるかという迫力。全史というにふさわしい分量だ。
著者の北島明弘は長崎県出身で、キネマ旬報編集部を経て、現在はフリーライター。後書きには「本書は著者の半世紀近いSF映画への愛の集大成である」とある。映画の誕生から現在までありとあらゆるSF映画に言及している。事典的に読める本だし、税別8600円という価格ではあまり売れないだろうが、こういう本は作ったことに意味がある。批評は量が質を規定するのだ。あるいはある程度の量がないと批評たり得ないのだ。
僕は事典的な本は好きで、双葉十三郎さんの「僕の採点評」も持っている。知りたくなった時に本棚から取り出して読むという読み方を、この本もすることになるだろう。