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「本と映画と『70年』を語ろう」

連合赤軍関係の本が読みたくなって書店を探したが、なかった。代わりに目に付いたのがこの新書。「70年」に反応したのである。映画・文芸評論家の川本三郎と新右翼の一水会顧問・鈴木邦男の対談集で、奥付は5月30日第1刷発行とあるが、13日に出た本らしい。

鈴木邦男は以前から川本三郎と会いたかったという。2人ともかつて新聞社に勤め、逮捕されたことで解雇されたという共通の過去があるからだ。川本三郎は朝日ジャーナルの記者時代の1971年、赤衛軍事件の犯人と接触、シンパシーを感じて証拠隠滅に手を貸した。それで逮捕されたそうだ。これは全然知らなかった。この事件について書いた「マイ・バック・ページ」は映画化されるという。

鈴木邦男は産経新聞時代に政治的事件を起こし、やはり逮捕されて解雇された。これはありそうだなと思えるのは右翼のイメージがあるからだ。しかし、鈴木邦男は一般的な右翼とはほど遠いのがこの本を読むとよく分かる。テレビに出始めたころから「変わった右翼だな」と思っていたが、今は右翼から「あいつは左翼だ」と言われるらしい。「実録・連合赤軍」について鈴木邦男はこう語っている。

「若松孝二監督の『実録・連合赤軍』という映画が公開されています。非常にいい映画なんです」「『光の雨』も良かったけど、若松さんの映画は学生運動の歴史を忠実にずっと追っかけているんです。三時間以上ありますが、すごい映画です」

面白かったのは右翼の美学に関する説明。右翼はテロを肯定するが、やったことに対しては責任を取る。行ったことに対して決して逃げないのが右翼の美学なのだそうだ。だから朝日新聞阪神支局襲撃事件は右翼から評価がないという。川本三郎よりも鈴木邦男の考え方が面白い本で、他の本も読んでみようかという気になる。映画「靖国 YASUKUNI」の推薦文を書いたり、街宣車で押しかけるより対話の必要性を説いたりと、もはや右も左も超えた人なのである。

この本は2007年10月から2008年3月までに行った語りおろしの対談をまとめたもの。本来なら雑誌連載がぴったりだと思うが、掲載できる雑誌が朝日新聞社にはなかったのだろうか。

「捨てる!」ほど快適になるパソコンのカラクリ

知っていることばかりだろうなあと思いつつ買う。こういう新書はさらっと読めるので最近よく買うが、内容の方もさらっとしていることが多い。ぱらっと読んでいたら、パソコン高速化ソフトとしてWin高速化PC+が紹介してあった。名前だけは知っていたが、使ったことはない。検索したらベクターにあった。ただし、検索すると出てくるが、既に開発が終わっている。ちょっとしたゴタゴタがあったらしい。そのあたりはスラッシュドット・ジャパン | AttosoftのWin高速化 PC+が乗っ取られて開発休止に書いてあった。

ゴタゴタとソフトの機能は別に関係ないけれど、2年以上前のソフトを紹介するのはいかがなものか。本書はXP向けに書かれた本だからXPで動くこのソフトを紹介しているのだろうが、この本の読者層は恐らく初心者なので、Vistaで使ってしまう人もいるかもしれない。重複してもいいからソフトの説明のところに動作環境はしつこく書いておいてほしいところだ。だいたい、今年4月に出た本なのにXPだけを対象にしているというのもおかしいのだけれど。

こういう高速化ソフト、パソコンの機能が貧弱なころは驚速というのを使っていた。XP用は今もあるようだ(SOURCENEXT eSHOP:ソースネクスト 驚速 for Windows XP キャンペーン)が、これはプログラムの起動を速くするソフトなので、ちょっと意味合いが違う。レジストリの不要項目を削除したり、スタートアップからプログラムを外したりするようなレジストリを最適化するソフトはなかなかない。Win高速化PC+が未だにベクターの環境変更・表示ツールで人気のトップなのはそのためか。初心者でも手軽にレジストリを調整できるソフトだが、初心者が手を出すと危ないソフトでもある。