「ミステリマガジン」4月号

「ミステリマガジン」4月号

「ミステリマガジン」4月号

「翻訳ミステリ応援団!」が面白い。北上次郎、田口俊樹に書評家の池上冬樹、石井千湖、小山正、杉江松恋を加えた座談会。「ミステリマガジン」に掲載されてる短編は読者に読まれてる率が少ないという杉江松恋の指摘はもっともで、僕もほとんど読んでいない。ミステリマガジンは書評とエッセイを読むために買っているようなものなのだ。

小山正が言及している故瀬戸川猛資の「夜明けの睡魔」はミステリマガジンに連載されていた頃、楽しみに読んでいた。ちょうどハードボイルドを集中的に読んでいた頃で、本格ミステリに詳しい瀬戸川猛資はハードボイルドに理解がないので反発も覚えたのだが、その中で「唯一分かる作家」として紹介したのがロス・マクドナルド。ロスマクの本質は本格ミステリという指摘に目から鱗が落ちた。こういうミステリのイロハを教えてくれる本は大切で、今はそういうのがあまりないことも翻訳ミステリの低調を招いた要因なのかもしれない。優れたブックガイドが必要なのである。

amazonのレビューを見ると、「夜明けの睡魔」はみんな褒めてますね。連載は1980年に始まったそうだ。確かにそのころだったな。今は文庫になっているので、買っておこうかと思う。

作家インタビューの「迷宮解体新書」は湊かなえ。写真が掲載されている。最初は脚本家を目指したが、地方にいては脚本家は無理と言われ、小説に方向転換したのだそうだ。「告白」は短編の「聖職者」が小説推理新人賞を受賞した後、編集者と話し合い、本にするために残りを一気に書き上げたとか。第2作の「少女」に続いて今年前半に第3作の「贖罪」が出るそうだ。