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「からだが変わる体幹ウォーキング」

「からだが変わる体幹ウォーキング」

「からだが変わる体幹ウォーキング」

体幹とは体の胴体部分のこと。体幹にある胸や背中や腹の筋肉は大きいので、ここを正しく使えば、運動効果が大きくなり、同じ距離を歩いてもウォーキングが効率的にできる。運動効果を大きくするために手を大きく振って歩くのが良いと言われるし、そうやって歩いている人も多いが、腕の筋肉だけを使っても効果は少ない。同じような指摘は他のウォーキング本でも読んだことがある。

体幹ウォーキングのためには正しい立ち方が必要で、猫背やバランスを崩した姿勢で歩いていると、一部の筋肉に負担がかかり、痛めることになる、という著者の主張はもっともだと思う。では、どう立てば良いかというのがなかなか難しい。チェック項目が多いのだ。

  1. 顔=あごを引いて、まっすぐ前を向いているか
  2. 肩=余分な力が入って怒り肩になっていないか
  3. 背中=そっくり返らずに背筋がまっすぐ伸びているか
  4. 胸=少し開き気味か(少しだけ肩甲骨を引き寄せて)
  5. お腹=突き出さずに、腹筋に軽く力が入っているか

など、9項目ある。正しく立つだけでも大変だ。どんな物事でも基本は大事なので、ここはしっかりチェックしておいた方が良いのだろう。

本書はこれからウォーキングを始める人よりも、既にウォーキングをしていてさらに効率的な歩き方をしたい人、歩き方を是正したい人に向いている。さらっと読める本である。「歩く時間帯はダイエットのためなら、血糖値が低く、脂肪が燃えやすい朝」が良いそうだ。これは実践したいところ。

著者は生活のなかでウオーキングを習慣化しようとする時、大敵となるのは雨や二日酔いや疲れなどの言い訳の数々、としている。いったんウォーキングにはまってしまうと、こうしたことは少しも障害ではなくなる。僕は雨の日は傘を差して歩いていたし、二日酔いの時に歩くと、酒が早く抜けると感じたものだ。ウォーキング依存症になると、歩かない日は落ち着かなくなる、というのは既に依存症の方には言うまでもない。

著者の金哲彦は箱根駅伝を4年連続で走り、リクルートランニングクラブ監督を経て現在はNPO法人ニッポンランナーズ代表。「オリンピック選手から市民ランナーまで幅広い信望を得るカリスマコーチ」だそうだ。

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「医者がすすめる背伸びダイエット」

「医者がすすめる背伸びダイエット」

「医者がすすめる背伸びダイエット」

一昨年から昨年にかけてダイエット本はかなり読んだ。食事改善とウオーキング、スロートレーニングの併用によって体重は落とせたので今はダイエットに関しては一段落しているが、書店で面白そうなダイエット関連の本を見つけると、つい買ってしまう。著者の佐藤万成(かずなり)は新潟市内の開業医で、ダイエット外来を開いている。世の中には怪しげなダイエット法がたくさんあるが、医師の本なら信用できるだろう。

手軽な方法でダイエットを考えている人にこの本は最適だ。朝昼晩1分間の背伸びをすることで体脂肪を落とせるという内容。1回10分週3回のスロートレーニングより手軽だし、背伸びは気持ちが良い。ダイエットに失敗し続けている人でもこれなら続くのではないか。

なぜ背伸びがダイエットにつながるのか。本書のオビにはこう要約してある。

背伸びをすると…
腹筋が引き締まる
骨盤のゆがみが取れる
血流がよくなる
便秘が解消される
腰痛が改善される

基礎代謝量が上がって体脂肪が減っていきます。

背伸びするだけで本当にこんな効果があるのかと思ってしまうが、書いてあることは真っ当だ。著者は「ダイエットの基本中の基本は基礎代謝量を上げること」と書く。基礎代謝量を上げるのならスロートレーニングによって筋肉量を増やすという考え方が一般的だと思う。この本も基本的にはそれと同じことを言っている。

背伸びをすると特に脊柱起立筋を中心に全身の遅筋が鍛えられ、基礎代謝量アップによる脂肪燃焼作用が起きます。それからスロートレーニング効果による成長ホルモンの分泌とそれに伴う脂肪燃焼効果とアンチエイジング効果が生じます。このメカニズムが、背伸びに隠されたダイエット効果の秘密だったのです。

これに加えて背伸びをしながらの呼吸法と食事の改善についても書いてある。こうしたことを実行することで、血流が良くなり、ダイエットの大敵である冷え(基礎代謝量を落とす)が解消される。肩こりも緩和されるなどの効果があるという。背伸びはストレッチにもつながるから、こうした効果があるのも納得だ。

ただし、紹介されているダイエット外来を訪れた人の実例はいずれもかなりの肥満の人たちのもの。体重110キロが100キロに減ったとか、そういうレベルの例ばかりである。だから本書はダイエットの第一歩として読むのが良いだろう。背伸びして少しでも体脂肪減少につながるなら、やってみて損はない。背伸びには金も時間もかからない。

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「貧困肥満 下流ほど太る新階級社会」

「貧困肥満 下流ほど太る新階級社会」

「貧困肥満 下流ほど太る新階級社会」

買ってみて分かったのだが、これは昨年3月に出た「下流は太る!」という単行本の改訂版だそうだ。著者の三浦展(あつし)によると、「不要な箇所を削除したほか、第1章を大幅に加筆」したとか。この新書の奥付は3月1日だから、わずか1年でほぼ同じ内容の本を出したわけだ。オビに「扶桑社新書2周年記念フェア」とあるので、出版社の意向だったのかもしれないが、いくらなんでも早すぎるのではないか。

かつては金持ちに肥満が多く、貧乏人はやせているのが普通だった。今はなぜ貧困層に肥満が多いのか。それは食事に金も時間もかけられず、ファーストフードやコンビニの食品ばかり食べているから。この指摘はなるほどと思える。富裕層は体型を維持するためにジムに通うこともできるが、貧困層にはそれができないし、時間もやる意欲もない。では、どうすればいいのか。当たり前のことながら、ちゃんとした食事をするしかないのだ。旬の食材を使って、自分で料理して食べる。現実的にはそれが難しいから肥満が増えているんでしょうけどね。

著者はファーストフードが蔓延する現状を「ファースト風土」とダジャレ交じりに言っている。コンビニで売っているおにぎりは古米を利用したものが多く、味をごまかすために添加物を入れているという指摘はありそうだなと思える。以前読んだ美味しい食事の罠―砂糖漬け、油脂まみれにされた日本人 (宝島社新書)によれば、ファーストフードには一般的に脂肪分が多く、だから食べ過ぎると太る要因になる。まずい古米も油まみれのチャーハンにしてしまえば、おいしく食べられる。それに人間の脳には脂肪が必要で、糖や脂肪を摂取すると、βエンドルフィンという快楽物質(脳内麻薬)が出る。だから人間は脂肪を取りたがる。これをやめるにはどうすればいいのか。他の快楽を与えてやればいい、という指摘は「NHKためしてガッテン流死なないぞダイエット」にあった(この本についてはSorry,Wrong Accessに書いた)。

新書の分量は一般的に原稿用紙200枚ぐらいだそうで、読んでいて内容が薄いと思えることが多い。手軽に読めるけれども、印象も薄いことになる。もちろん、新書のすべてがそうではない。僕自身、過去には田中克彦「ことばと国家」のように影響を受けた新書もある。最近の新書の作りが問題なのだ。

本書も最近の新書の例に漏れず、内容的には薄い。3章から構成されていて、第1章がなぜ貧困層に肥満が多いのかの総論。第2章は実際に太っている人たちのルポ(と呼べるほどのものでなく、実例の紹介)、第3章は座談会である。個人的にはこの第3章を雑誌で読むだけでも良かったかなと思えた。

「仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか」

昨年11月ごろからスロートレーニングを始めて3カ月ほど続けた。体重が目標値まで落ちたので、その後はあまり熱心にやらなくなった。この本を読んで、またちょっと熱心にやろうかという気になった。著者はトレーナーとしてプロのアスリートや外資系エグゼクティブ、経営者などを指導した経歴を持つ。その体験から仕事のできる人は自分の体の管理もできていることを知ったという。

「アメリカのエグゼクティブの間では、肥満は問題外、たんに痩せているだけでなく、トレーニングによって体を鍛えるのがもはや常識になっている」のだそうだ。

体を鍛えるためには徐々に筋肉への負荷を強めていく必要がある。この当たり前のことを僕は実践してなくて、腕立て伏せやレッグレイズの回数を増やしていなかった。骨格筋率がなかなか上がらなかったのは負荷を強めなかったためだろう。体重は8キロ余り落ちて体は軽くなっているのだから、同じ回数やっていては始めた頃よりも負荷は弱まっていることになる。これでは筋肉が付くわけがない。

タイトルが魅力的なためもあって、この本、売れているらしい。ただし、タイトルとは裏腹に筋トレをする人が必ずしも仕事ができるとはかぎらないのが悩ましいところではある。それにこの本を読んでもトレーニングの仕方は分からない。体を鍛えなくては、という動機付けにはなるだろう。

筋トレの実践的な方法は石井直方さんの本(「体脂肪が落ちるトレーニング」とか)を読んだ方がいい。石井さんの本はトレーニングの実践法だけでなく、理論的にも優れていて、これまた大いに筋トレのモチベーションを高めてくれる。

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