投稿者「hiro」のアーカイブ

「Windows Script Host ハンドブック」

注文していたのが届いた。2002年9月に出た本だが、Windows Script Hostに関する本では一番新しいと思う(未だに第1刷というのに驚く。売れていないのか)。雑誌連載をまとめたものなので、リファレンス的に使うには難があるが、まあいいでしょう。リファレンスはWindows Scriptからドキュメント(ヘルプになっている)をダウンロードすると便利だ。というか、このヘルプがあれば、プログラミングに慣れた人なら本は不要かも。本は初心者向けですね。

この本の著者のホームページ(Tuya’s HomePage)があったので、行ってみる。FAQに「本文の説明部分と図のあるページがずれていて読みにくいです」というのがあった。この本、スクリプトが解説のあるページから3、4ページ先にあるのだ。このため読みにくい。雑誌連載時は見開き2ページだったそうで、それを小さな本に収録しようとして、こういう構成になったのだろう。雑誌連載をまとめる難しさと言えようか。でも本を出し慣れた人なら連載時からまとまった場合のことを考えて書くんでしょうね。スクリプトの半角スペースを四角で表示しているのも読みにくい。初心者向けを意識したためだろうが、これはない方がすっきりしたと思う。

「花と爆弾 人生は五十一から」

小林信彦が週刊文春で連載しているエッセイの昨年分をまとめたもの。今年4月の発行。毎年、夏頃までには買う本だが、会社の近くの書店が閉店したので、買えなかった。週に一度ぐらい寄る郊外の書店ではこの本、見かけなかった。仕方がないので楽天ブックスに「ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判(2)」と一緒に注文したら、取り寄せで1週間ほどかかった。昨日届いたので一気に読む。

このエッセイ、「人生は五十一から」というタイトルで続いていたが、今年に入って「本音を申せば」というタイトルに変わったとのこと。週刊文春はあまり読まないので知らなかった。連載をまとめたものとしては6冊目にあたり、過去のコラムとだぶる部分もあるが、東京の町のこと、映画のこと、政治のこと、イラク戦争のことなどが綴られている。

映画に関しては「レッド・ドラゴン」「シカゴ」「踊る大捜査線2」などが取り上げられている。映画に関する文章が少ないのはクロニクルという連載の趣旨を尊重しているためだろう。

著者も70歳。孫のことを書いた「K君が現れた日」など読むと、その年齢を強く感じる。以前なら、70歳の作家が書いた本はあまり読む気にならなかっただろうが、未だに小林信彦に変わる作家が現れないので仕方がない。小泉首相をはじめ政治に関する文章で「太平洋戦争の時代でもこんなことはなかった」という指摘は説得力があり、今の日本がどんなにひどい状態か痛感させられる。それだけ、僕らは悪さに鈍感になっているのだろう。

「ジェシカが駆け抜けた七年間について」

今年2月に出た本。「葉桜…」よりは薄いのですぐに読める。マラソンの女子選手がホテルで自殺する。その選手、アユミ・ハラダは監督のツトム・カナザワの子供を妊娠したが、中絶させられ、マラソン選手として走れない体になっていた。自分を捨てた監督への恨みを抱えたままの自殺だった。アユミと同じクラブに所属していたエチオピア人のジェシカ・エドルは監督に強い復讐心を抱く。

というのがプロットだが、やはり仕掛けのある話で、この紹介の仕方にもミスリーディングがある。「葉桜…」のような大仕掛けではないので、見劣りはするが、よくまとまった話と思う。マラソン競技への取材も行き届いており、読んで損のないミステリ。

「葉桜の季節に君を想うということ」

「このミス」1位。ようやく読む。「陽気なギャングが地球を回す」とは違って、これは絶対に映画化できないタイプの作品。アイラ・レヴィンとか小泉喜美子を思い出す。と書くと、ミステリファンにはトリックの種類が分かってしまうが、終盤の驚天動地の真相でそれまで読んでいたものが別の様相を見せるというタイプの○○トリックを用いた作品だ。
もうすっかり騙された。こんなにきれいに騙されたのは何年ぶりだろう。そして感心した。本格ミステリの醍醐味がありますね。

「陽気なギャングが地球を回す」

昨年の「このミス」6位。伊坂幸太郎の小説は初めて読んだ。これ、映画になりそうな題材だな。ちょっと前なら監督には岡本喜八が適役と思うが、今なら誰だろう。「g@me.」の井坂聡あたりか。

それぞれに特技を持つ4人の男女が銀行強盗を企てる。うまく4000万円せしめたものの、逃走の途中、現金輸送車ジャックの犯人たちに車ごと奪われてしまう。4人は奪った犯人を追いつめようと画策するが…。というストーリーで、文章が軽快なためスラスラ読める。キャラクターの設定もうまい。品の良い笑いとひねったプロットで描くユーモア・ピカレスク(表紙に長編サスペンスとあるが、大きな誤り)。「このミス」3位の「重力ピエロ」も読みたくなった。