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「癌では死なない 余命宣告をくつがえした医師たちの提言」

「癌では死なない 余命宣告をくつがえした医師たちの提言」

「癌では死なない 余命宣告をくつがえした医師たちの提言」

ここ数日、風邪で病院に通っている。僕がよく行く病院は抗生剤の点滴をよくするところで、6年ほど前、生まれて初めてここで点滴を受けた。今回も既に3回、点滴を受けている。喉が真っ赤に腫れ、体内の白血球数も増加しているので、確かに抗生剤を打つと楽になるのだが、風邪を引くたびにこれを繰り返して良いものかどうか疑問を覚える。体がそれに慣れてしまわないか心配なのだ。

筋力トレーニングの本をよく読んでいた時、筋肉の発達のためには成長ホルモンの分泌が欠かせないのを知った。筋トレをすると、筋肉が傷む。成長ホルモンは傷んだ筋肉を修復し、以前より強い筋肉に成長させる(これを超回復と言う)。成長ホルモンは午後10時から午前2時ごろまでの間に分泌されるが、これを人工的に注入して筋肉を成長させる方法もある。しかし、これが勧められないのは体から成長ホルモンの分泌が少なくなるからだそうだ。恒常的に外部から与えられると、自分で作る力が弱まってしまうのだという。

同じことは病気の時にも言えるのではないか。軽い風邪なら、睡眠と休息をしっかり取れば、本来は体の免疫機能で治る。それを病院に頼って薬で治療すると、体がそれに慣れてしまい、免疫がうまく働かなくなるのではないか。そんな気がしている。こういうことを考えたのは2カ月ほど前に読んだ「癌では死なない」を思い出したから。本書の第2章「腸をきれいにすれば癌が消える」には免疫機能の重要さと、どうすれば免疫を高められるかが書いてある。

われわれの体の中には毎日3000個から数万個の癌細胞が発生している。なのに癌にならないのは免疫機能が働いているからだ。免疫の70%は小腸に、10%は大腸にあり、腸全体で80%の免疫が集中している。だから腸を健康にして免疫機能が正常に働くようにすれば、癌だけでなく他の病気も防げるというわけだ。

腸を健康にするにはどうすればいいのか。著者が挙げているのは(1)食物繊維をたっぷり摂る(2)良質な油を摂る(3)水分を摂る(4)酵素の多い食物を食べる(5)体を温める-の5つ。それとダイエットと同じで低GI食品を心がけた方がいいという。GI(グリセミック・インデックス)は炭水化物の吸収速度を表す指標。血液中に増えた糖は細菌のえさになる。菌が増えれば、マクロファージや好中球が食べてくれるが、この武器は活性酸素のため、正常細胞を傷つけてしまい、癌のリスクが高まるのだそうだ。

つまり癌を防ぐには、ゆっくりと血糖値が上がり、しかもエネルギーになって脳の栄養にもなる低GI食品を積極的に摂ることが重要なのである。これは癌の治療中も同様だ。

このほか、「マーガリンとサラダ油を摂りすぎない」「酸化した油を摂らない」「甘い食物が活性酸素を増やす」などの注意事項が書いてある。ダイエット同様、食生活、生活習慣の改善が癌の予防になるわけだ。

本書の著者はジャーナリストの稲田芳弘、医師の鶴見隆史、理学博士の松野哲也。外科治療と抗癌剤、放射線療法、早期発見早期治療への疑問を提示している。癌で死ぬよりも重大な副作用がある抗癌剤死が多い現実や抗癌剤で癌は完全にはなくならず、最終的には体の免疫機能がカギを握ることが分かりやすく書いてある。本書の内容を過信してはいけないのだろうが、確かに免疫は高めておいた方がいいという気持ちになる。食生活の改善はすべての病気への対処法になるのだろう。

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「NAVI」最終号

「NAVI」最終号

「NAVI」最終号

表紙のロゴに「for Sale」と印刷して刷り直しになり、発行が5日遅れたという(NAVI for Sale!|頑固一徹カズです!)。NAVIらしい出来事と言うべきか。

NAVIを読み始めたのは1995年ごろ。トヨタマークIIを買うか、日産セフィーロを買うか迷っていた時だった。価格その他を検討してマークIIを買ったのだけれど、セフィーロの方が評価は高かったと思う。個人的にセフィーロに踏み切れなかったのはその大きさにあった。アメリカ仕様だったので、日本で使うには大きすぎたのだ。

まあ、それはともかく、その当時、鈴木正文編集長時代だったNAVIは面白い雑誌だった。表紙に「フランス核実験反対」と大書したことがあり、それは新左翼の活動家だった過去を持つ鈴木編集長の意向だったのだろうが、普通の自動車雑誌では考えられないことだと思った。車と核実験にどんな関係があるんだ。

最終号には「さよならNAVI」という特集があり、鈴木正文(現ENGINE編集長)や神足裕司、田中康夫、えのきどいちろうら、かつての関係者がインタビューに登場している。鈴木正文は「雑誌は文化」と強調している。「後年の歴史家が今の日本の状況を研究するとして、果たして今のインターネットが素材になり得るのか。一部、資料的価値があるものもあるだろうけど、そもそもどういう形態で残るのか分からない」。

これはその通りだと思う。自分でホームページ作ったり、ブログ書いたりしているから痛感するのだが、電子データというのは保存には向かない。ホームページなんていつ消えてもおかしくないし、改竄もできてしまうから資料としては極めて怪しい。紙に印刷して固定しておかないと、資料にはなりにくいのだ。

神足裕司は鈴木正文に「せっかくものを書くのに、こんなふざけたことを書いちゃいけない」「貴方はお金のために原稿書くんですか」と言われてショックを受けたことを回想している。それをきっかけに「マジメに文章書くのもいいな」と思ったのだそうだ。鈴木正文はダイナミック・セーフティ・テスト(DST)で非常に悪い点数を取った車の会社に乗り込み、「おたくの広告はいらない」と断ったという有名なエピソードもある。ファッションに凝る人だが、基本的に硬派の人なのだと思う。

一方で、インタビュアーの小沢コージは「最近、スズキさん、以前ほど打席に立ってないんじゃない」という、えのきどいちろうの言葉を引き、「誌上反戦運動とか、80~90年代のスズキさんの方が、分かりやすいファイティングポーズをとっていたような…」と指摘している。鈴木正文はNAVIの一時代を築いた人だったが、鈴木正文ひとりの力ではなく、時代の状況やスタッフの力も大きかったのだろう。

それに人の考え方は変わるものだ。当時のスタッフがまた集まったからといって同じような面白い雑誌になる可能性は少ないと思う。鈴木編集長のENGINEにしても、僕はかつてのNAVIのような面白さは感じない。

NAVIの創刊は1984年。僕が読み始めたのは創刊後11年たってからということになる。それ以後、しばらく中断し、車の買い換え時期に合わせてまた買い始めということを繰り返し、今に至る。今乗ってる車はゴルフだが、NAVIを読んでいなかったら、まず買わなかっただろう。日本車が一番優秀と思っていたので輸入車なんて選択肢に入ってこなかったのだ。狭い視野を広げてくれたNAVIには感謝している。

自動車が売れていないから自動車雑誌も売れず、広告も減少している経済状況がNAVIを休刊に追い込んだのだろう。休刊はとても残念だ。